蝉時雨に想う
「猛烈」などと言う強い語感の文字は安易に用いるべきではないと私は思うのですが、長かった梅雨が明けた後の連日の暑さには、無意識のうちにもつい使ってしまうくらい、日中は何処も此処も猛烈に灼けついています。そこへ追い打ちをかけるような粘着質の蝉の声。
冬の凛とした空気が好きな私にとっては、その蝉の声のかたまりが何だか暑い空気の壁か、熱を発する屏風が自分のそばにあるように感じられるのです。 先月、あれほど疎ましかった長雨でしたが、今じゃたとえ10分でもいいから灼けたコンクリートを冷ましてくれたらなんて、またまた勝手なことを口にしながら家の前に打ち水をして暑さを凌いでいる日々です。
ただいつもこの時期想うのは広島、長崎の事。惨事の犠牲になられた方々に思い至ると、我が気ままなるほんの僅かな暑さに向けたつぶやきなどは、蝉時雨のなかに紛れ込んで消えてしまいます。
尊きいのちを受け継いだ我々は、たとえどんなに厳しい夏の暑さの中でも一所懸命に生きて行かなければならない。そう思いを新たにした昨日8月6日、日曜日の私なのでした。
※写真は例のごとく夕刻の散歩道で見た紅葉の始まった櫨(ハゼ)の木。